一神教と多神教 、狩猟民族と農耕民族
唯一絶対の神しか信じてはいけない。他の神は存在しない。
誰かが他の何かを信仰しているならば、その信仰対象は神ではなく悪魔の類である。
故に、キリスト教の民族に征服された他の民族が信仰していた神は、キリスト教 に
おいては、悪魔として取り込まれる。
征服された民族の宗教儀礼は、サバトなど悪魔的儀式に変換される。
多神教である仏教は違う。
仏様に対立し帝釈天と戦っていた阿修羅は、諭された後、仏を守る守護神となる。
阿修羅も鬼子母神も、元々は仏教民族に征服された民族が信仰していた神である。
この背景には、狩猟民族と農耕民族の違いがある。
狩猟生活では食料の大量保存は難しく、必要な食料は都度手に入れる必要がある。
しかし、食料となる動物の数は自然任せであり、人為的に調整できない。
故に、他の国を攻撃、支配すると、相対的に食料不足になる。
そのため、女子供と最小限の奴隷以外は追放するか殺す。共存はできない。
これが、支配された民族の信仰対象を悪魔化することにつながった。
農耕生活の場合は食料の保存が比較的容易で、他民族を支配した際も 食料不足に
陥ることはない。
保存した食料が残っている間に、新たな食料を作り出すことが出来る。
つまり、支配民族と被支配民族の共存が可能ということ。
阿修羅や鬼子母神が仏教に取り入れられたのは、 仏教が農耕が中心の民族の間で
広がった宗教だったから。